ヴェルニゲローデ航空博物館

ハノーファーから130kmほど離れた所にあるWernigerode(ヴェルニゲローデ)と言う町の小さな航空博物館へ。なんでまたそんなマイナーな博物館に行くかと言うと、世界でインド以外唯一、アジア最初のジェット戦闘機Marut HF-24が見られる場所だから。傑作機FW190, Ta152の設計で知られるドイツ人技師Kurt Tankが設計に参加したがインドが高性能エンジンを調達出来ず設計値マッハ2に程遠い亜音速戦闘爆撃機となってしまった代物。50年代設計と思えばなかなかモダンな形だがゴタゴタで開発が遅れて実用化したころには敵は既にMig21で叶うはずもなかった。本機は退役後インドからタンク技師の未亡人に贈られ、ドイツ博物館経由でここに来た物。

これがMarut HF24です。なかなかカッコいいと思うんですが。みんなクルト・タンク贔屓なんで「空力的な設計は優れていたが良いエンジンが無く性能を発揮出来なかった」って話にしたいんですが、関係者によるとエアブレーキ下ろしたら突然機首が真上向いたとか、エンジンまともで音速出してたら何が起きたか分からん、みたいに結構な言われようだったり。

これ以外の機体ではあまり目ぼしいものは無い。ドイツの博物館の常でF-104は掃いて捨てるほどあるので部品やらカットモデルやらゴロゴロしている。他にはミラージュIII、Mig21, Mig15, AlfaJet, G91等。計器盤やら部品レベルはあちこちから集めた物が色々あり、F16やバッカニアのコクピット周りの輪切りが珍しい。解体品を払い下げてもらって集めた感じ。乏しい実機展示を補おうとおびただしい数の模型が並んでいる。あー、ヘリや複葉機は門外漢なのでそちらで実は貴重な展示もあったのかも?

F104ですがインテークからエンジンまでここまでひん剥いちやってるのは珍しい。
Fiat G91、F86、ホーカーハンター、手前はT37Bの警察仕様
もちろん機体が丸ごと無いのは残念なんだけど、ぶった切って床に置いてあると、普段見づらいコクピットの中や果ては内部構造まで丸見えなのは良い。というかバッカニアのこの断面なんて見られるの世界でもここだけでは。
MIG21のコクピットの中。青竹色ですねえ。

特筆すべきはBf109のレプリカコクピットで体験できるフライトシミュレータ。これはシミュレータと言えどなかなか興奮する。独語しか喋ってくれないオヤジに操縦桿操作を付きっきりで手助けしてもらいつつのバレルロールは感激。無茶な引き起こしをするとブラックアウトして画面が暗くなりビビる。最後は着陸してみるか?と言われてチャレンジしたものの敢えなく横転、墜落してしまったが。

大画面のフライトシミュレータ。傾いてGが掛かる様な高級品では無いが、視覚だけでも充分楽しめる。
これもF-104の計器盤ですね。兵装関係のスイッチは複雑と思ったら機体の絵の周りにボタンが分かりやすく配置してあって、これなら僕でもパイロットになれそう(お前は着陸出来へんやろう)。Bf109の計器盤は二枚並んでいて舐める様に見ていると先程のシミュレータ教官の親父がいつの間にか背後に立っていて「左の奴はこのスイッチとこのスイッチが逆に復元されてる。こっちはコレが間違ってる」と聞いてもいないのに深い知恵を授けてくださる。

この博物館は子供が航空技術を楽しみながら学べるよう、色々面白い展示がある。紙で作る三角錐のプロペラ様のものがダクトからの風で回りながら吹き上げられる展示やら、飛行機ポーズをして身体を傾けると画面の中の飛行機が操縦できるシミュレーターやら。こうやって次世代の飛行機技術者を育てているのだろうか。

FW190Dに搭載されていたJumo 213エンジン。泥の中に30年埋まっていたにしては綺麗。木製ペラの折れた跡が生々しい。
このように、本物?の計器盤やら備品の下には上下二段でプラモデルがぎっしり。それも小スケールのが多い。もしかしてドイツで一番沢山飛行機模型が並んでいる場所かもしれない。

写真をいっぱい撮りましたのでよろしければご覧下さい。

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