先日作成した下記の回路図に基づいてトランジスタ・FETテスター(hFE測定器)を作成した。エミッタ電流(ソース電流)を固定してVgs, Vbe, IDSS と何でも測れる多機能機である。
オプションを色々増やしたのでスイッチ類が増えて広い面積のケースが必要になったので、45年位前に買ってあった安いアルミのペラペラケースの出番となった。切り替えスイッチのノブはレトロっぽい奴が一袋幾らでeBayで安かったのでそれにする。おびただしいテプラがどこぞのコンビニのコーヒーサーバーの様にダサいが気にしない。流石にインレタとかもう無いし。
必要なスイッチ類の数が決まったらケースの上に部品を並べてレイアウト検討。初期案は完成品とは全く違う配置だった。
レイアウトが決まったところでバカバカ穴を開ける。ボール盤があるのでこの手の作業は楽。トランジスタ/FETの接続はゼロプレッシャーソケットとDIPソケットの両対応仕様に変更。ここだけ手作業でヤスリの出番。
配線し終わったところの図。ロータリースイッチも40年選手で接触はどうかと思ったが問題無かった、流石アルプス。小さな穴開き基板に無理矢理詰め込んで抵抗は立ててレイアウトし何とか出来た、と思った後でパネルのLED用の抵抗を忘れていたのに気付いたので、無理矢理空中配線で繋いでいる。測定開始表示LEDは正負両電源で点灯させるのにDiブリッジが必要になりやむなく中央の小さな基板を追加。出来たら半固定抵抗をクルクル回してエミッタ電流やコレクタ電圧をパネル表示の数値に合わせて完成。
ソケットのピン配列はデュアルパッケージのトランジスタやFETがそのまま刺せるようになっているマニアック仕様。FETのゲート(トランジスタのコレクタ)はこのようにクリップで接続。手前のスイッチで左右の素子を選択。ピッチの合わないパワー系素子を測るときはピン付きのミノムシクリップケーブルを使うことにする。
このように12Vの電源を繋いでエミッタ電流を2mAに固定し、ベース電流を測定している。10kオームの抵抗で107.4mV掛かっているので10.74μA流れているから hFE = 186.2 = 2000/10.74 となる。正確にはコレクタ電流を分子にすると187.2となるのだが。ご覧のようにエミッタ抵抗Reの両端の電圧を右の方でモニターして4.00Vとなっているのを確認しつつ測定しているが、実はここの4Vが抵抗分圧とOPアンプのフィードバックループだけでは安定しないことが判ったため。4.00Vからズレだしたら外部電源の電圧を微妙に12Vから変化させて調整する、残念でしち面倒くさい作業が必要となった。原因は二つ
- 抵抗分圧の4V設定がDUT等によってズレる。OPアンプループが2k Ohmにパラに入ってしまっているから仕方ないのか
- OPアンプのNFループに入れていても常に出力電位を入力電位に厳密に一致させられる訳では無い
一点目はすぐに解決策が思いつかないので、二点目の対策にOPアンプを差し替えて入出力の電位差を測定してみた。単電源仕様ではないOPアンプに差し替えてもいいのか躊躇したが入力バイアスが4Vあるのでまあ大丈夫かなと試す。エミッタ電流を切り替えると種類によって挙動がコロコロ変わるのが面白い。驚いたことに高精度OPアンプとしてわざわざ用意していたLT1078に比べて40年前の4558の方がエラーが小さいという結果に。
OP amplifier | 1 mA | 2 mA | 15 mA | |
LT1078 | -40 | -65 | 0 | mV |
OPA2134 | 0 | 0 | -270 | mV |
uA4558 | -4 | -12 | -6 | mV |
TL4558P | -10 | 0 | -110 | mV |
uA4558に差し替えて選別作業を始めるが、10mV近い電位変動が残ってスッキリしない! 頭にきたのでシングルOPアンプ→デュアル変換基板を引っ張り出して、秘蔵の高級OPアンプ達も動員する。
OP amplifier | 1mA | 2mA | 15 mA | 85 mA | |
OP27 | 0 | 0 | +17 | +20 | mV |
OP07 | 0 | 0 | +3 | +1 | mV |
AD811 | +95 | +84 | +88 | mV | |
CA3140 | +1 | +2 | +2000!! | mV | |
AD797 | -1 | 0 | 0 | 0 | mV |
何とか期待に応える奴らが現れた。OP07かAD797なら文句無い。よく調べると両電源用オペアンプを単電源で使う際の注意点やらノウハウやら有ったようで適当に差し替えて良い悪いと言うだけでは不充分だったようだが。
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