トランジスタやFETの簡単な測定、チェックには数千円の安価なテスターを使うのも良いんだけど、特にブレークダウン電圧を測定したいとき(廃番品の偽物を見分けるとか)にはちゃんとした半導体テスターが欲しくなる。その手の機械の使えるレベルで一番廉価で多機能なのが Duoyi DY294 と言う奴。日本のAmazonなんかで買うとちょおっとお高いんだけど、AliExpressなんかだとまあまあリーズナブル。HFEを正確に測るなんて期待してはいけないけどコンデンサーの耐圧まで測れてなかなか便利、一家に一つ!的なガジェットだ。乾電池4本か6Vの外部電源で使えるんだけど実はこの電源端子は逆電圧保護が無い。よって「6Vのアダプタなんて無いなぁ、あー、大昔のSONYのラジオのアダプタがたまたま6Vじゃん、ラッキー!」みたいにうっかり昔の6Vのアダプタを繋ぐと外側+だったりして一発で死ぬ。実際死んだ。数十€の買い物が文鎮に。
数十€は小遣いにはちょっと痛い。直したい。しかしこの機械、欧米の自作界隈ではポピュラーな割に内部構造に関しては情報が少ない。Webを漁って漁って遂に辿り着いたのがこちらのサイト。この方Jestine Yong さんは凄いよ。直している内にロジックICを殺してしまったので「詰み」と思ったらそこからシールの下のロジックICを特定して貼り替えて復活させている。数十€の為に。いや、もう新品買い直した方がいいんじゃないの?と思うし本人もそう考えただろうけど技術的興味で完遂するところが素晴らしい。
この方によると過電圧等で先ず壊れるのはロジックICじゃなくてこちらのTr Q1らしい。僕もロジックIC貼り替えまではやる気無いけど、Tr一個くらいなら何とかなる。
使われているのはこちら、C9013ってちょっと見ない奴。Jestine 師は類似スペックのTrで失敗してやり直したりしているので迷わずeBayでC9013を買うことにする。安いし。
もちろん外したC9013はチェックしてみてTrとして動作していないのを確認。Jestine師の仰るとおりコイツが壊れたのが原因のようだ。
これが新しいC9013を刺して裏からハンダ付けする前の図。右の黒い丸いゴムみたいなのがシールされたロジックIC。こっちまで死んでいたらお手上げだった。
組み立てて電源を繋ぐと、おお!バッチリ復活!! ちなみに今回電源アダプタは5Vのセンタープラス仕様。色々試したけど5Vでも動くみたい。最初っから6Vの電源なんて無理に探して来なくても良かったってこと?!
試しに2SK216のブレークダウン電圧を測定、226 V なのでOK。これは日本で買ったんで本物なのは当然だけど。
注意点としてDY294は表パネルから基板を外すとダイアルの下の小さな電極が外れちゃう。一度バラバラになっちゃうと元の位置に戻すのに頭を捻る羽目になるので、そこは慎重に。その部分までなら分解動画がYouTubeにあるので、それを見ながらやると確実。
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